【米政府閉鎖で雇用統計ストップ!?】異例ではないけど影響は大きい※2025年10月1日21時更新

金融ラボ

アメリカでは、政府の予算が通らないと一部の機関が閉鎖される「政府閉鎖」が起きます。
もし閉鎖になれば、世界中の投資家が注目する 米雇用統計や失業保険申請件数などの経済指標が発表されなくなる 可能性があります。

「そんなことって本当にあるの?」と思うかもしれませんが、実はアメリカでは過去にも何度も起きてきました。
異例ではないけれど、マーケットに与える影響は大きく、株式や為替、暗号資産まで広く波及します。

この記事では、

  • 政府閉鎖と経済指標への影響
  • なぜ雇用統計がそこまで重要なのか

を初心者でも分かりやすく解説していきます。

今回のニュースまとめ

アメリカでは、政府の予算が通らないと一部の政府機関が「閉鎖」されます。
今回ももし閉鎖になれば──

  • 雇用統計(10月3日予定)や失業保険申請件数の発表が中止
  • 建設支出や貿易統計、GDP速報値まで遅れる可能性
  • 労働省(BLS)や商務省が一部業務を止める

つまり、「政府閉鎖=経済データが出なくなる」ということ。
これは異例ではなく、アメリカでは何度も起きているけれど、市場への影響は毎回大きいのです。

なぜ大事?

投資家にとって経済指標は「相場の羅針盤
発表が止まれば、市場は「何が正しいのか分からない不透明感」で荒れやすくなります。
特に雇用統計は世界中が注目する指標なので、延期や中止はマーケットに強い影響を与えます

過去の最長政府閉鎖(2018–2019年)

今回の米政府閉鎖は「異例ではない」とお伝えしましたが、実際に過去最長の閉鎖は2018年末から2019年初めにかけて起きました。

  • 期間:2018年12月22日~2019年1月25日(35日間)
  • 原因:トランプ政権下で「メキシコ国境の壁」の予算を巡り、議会が合意できなかったため
  • 特徴:連邦職員80万人以上が一時的に給与未払いとなり、政府サービスが大幅に停止

閉鎖中の市場への影響

  • 株式市場は閉鎖直前の2018年12月にかけて大きく下落し、S&P500は一時20%近く調整局面入り
  • ただし、閉鎖終了後は投資家心理が改善し、株式は反発
  • 政府閉鎖そのものの影響よりも、政治不透明感が市場のボラティリティ(変動)を高めたことがポイント

今回との比較

  • 今回も「異例ではない」が、市場は短期的にドル安・円高、ビットコイン上昇という動き
  • 長期化すれば2018–2019年と同様に「政治リスク」として投資家心理を冷やし、株やドルの重荷になりうる
  • 一方で、閉鎖解除の見通しが立てば反発もあり得る

まとめ

過去最長の閉鎖(35日間)では、政府サービスの停止と市場の不安定化が目立ちました。
今回も「閉鎖が長期化するかどうか」が最大の焦点となります。

💡過去の事例を知っておくことで、今回のニュースがどれくらいのインパクトを持つ可能性があるのかを判断できます。

そもそも米雇用統計ってなに?

米雇用統計とは?

米雇用統計(U.S. Employment Situation Report)は、
アメリカの労働市場の“健康診断”とも言える経済指標です。
毎月第1金曜日に発表され、景気の強さやFRBの金融政策(利上げ・利下げ)の判断に直結するため、
世界中の投資家が注目しています。

どんな項目があるの?

米雇用統計にはいくつかの数字が含まれています。特に注目されるのは以下の3つです。

1️⃣ 非農業部門雇用者数(NFP)

  • 農業以外の雇用が前月からどれだけ増減したかを示す数字。
  • 景気が拡大していれば雇用は増えるし、不景気なら雇用は減る。
  • 「米雇用統計=NFP」と言われるほど、最重要視される項目です。

2️⃣ 失業率

  • 労働人口のうち「働きたいのに仕事がない人」の割合。
  • 景気が悪いと失業率が上がり、良いと下がる。
  • 一般人にもわかりやすく「国民がどれだけ仕事を持っているか」を示します。

3️⃣ 平均時給

  • 働く人のお給料が増えているかどうかを示す数字。
  • お給料が増えれば消費が伸びやすく、インフレにもつながります。
  • FRBがインフレ対策で利上げするかどうかを判断する上で重要。

どうやって作られるの?

アメリカ政府(労働省の労働統計局=BLS)が、
企業や世帯から集めた大規模な調査データを集計して作成します。

  • 企業調査(Establishment Survey)
    → 企業に「何人雇ってる?給与はいくら?」と聞く
  • 世帯調査(Household Survey)
    → 各家庭に「仕事してる?失業してる?」と聞く

この2つを合わせて、「雇用者数・失業率・時給」などの数字を算出しているのです。

なぜ世界中が注目するの?

  • アメリカは世界最大の経済大国 → その労働市場は世界経済のバロメーター
  • FRBが金利をどうするか決める材料 → 利上げならドル高、利下げならドル安
  • 為替・株・債券・暗号資産まで、ほぼ全てのマーケットが大きく動く

つまり「雇用統計は世界の相場を一瞬で動かす爆弾指標」とも言えます。

トレーダーが見るポイント

  • 予想と結果の差 → 予想より強ければドル高・株高、弱ければドル安・株安になりやすい
  • 時給の伸び → インフレ懸念につながるため要注意
  • 失業率の動き → 景気後退の兆しかどうかをチェック

米雇用統計:まとめ

  • 米雇用統計は「アメリカ経済の健康診断」であり、世界中の投資家が最注目する指標
  • 重要なのは「非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」
  • 発表後は為替・株・暗号資産まで相場が大きく動く

だからこそ、発表日(金曜日夜)には市場が荒れることを前提に準備するのが鉄則です。

まとめ

  • 政府閉鎖は「珍しくはない」が、雇用統計やGDP速報値が止まると市場は大きな影響を受ける
  • 雇用統計は「世界中が注目する超重要な指標」で、景気・インフレ・金融政策を読むための必須データ

投資家は「閉鎖が長引くか」「雇用統計が延期されるのか」に神経質になっており、相場のボラティリティ(値動きの大きさ)が高まる可能性があります。

【免責事項】
本記事は投資助言ではありません。市場の動きは常に変化するため、最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。

最新のニュース(10月1日 午後3時時点)

アメリカでつなぎ予算案が否決され、政府機関の一部閉鎖が正式にスタートしました。
その影響で、ドル円はじりじりと下落し、147円までドル安/円高が進行

  • 朝方は148円台まで上昇していたが、閉鎖開始後にドル売りが強まり147円半ばへ下落
  • 雇用統計などの重要な経済指標が発表延期になる可能性 → 市場はやや不透明感
  • ただし「閉鎖が長引かなければ影響は限定的」との見方が多い
  • ユーロは一時1.1767ドルと1週間ぶりの高値をつけた後、買いは一服
  • 日本では日銀幹部の発言が注目され、利上げ示唆があれば円高圧力に
  • 一方で、自民党総裁選や財政懸念などから「円安圧力も根強い」との指摘も

まとめて一言

米政府閉鎖は現実になったものの、短期的にはドル安/円高に振れたが、市場は「長期化しなければ限定的」と冷静な見方
ただし、日銀のスタンスや日本政治の不安定さが絡むため、今後も円高と円安の綱引きが続く展開になりそうです。