【投資と保険は分けるべき】元本割れしても貯蓄型保険は解約すべき?

【投資と保険は分けるべき】元本割れしても貯蓄型保険は解約すべき?

皆さんの中で「貯蓄型保険」に加入している方もおられるのではないかと思います。

この記事では、貯蓄型保険に関するよくある疑問に対して回答していきます。

よくある疑問と回答

 Q.疑問:貯蓄型保険を解約すると元本割れするけど、それでも解約した方が良いのかな?

 A.回答:基本的に、貯蓄型保険は解約した方が良いでしょう。

 ・貯蓄型保険を途中解約すると損してしまうというより、貯蓄型保険に加入した時点で損をしていたといえる。

 ・投資と保険は分けて考えることが大切。

 ・「適正なリスクの資産運用 + 掛け捨て保険」の組み合わせが、貯蓄型保険を上回る選択肢となる。

解約しない方が良いケースもあるので、それについても解説するよ!

この記事を読んで
回答部分だけで判断するのではなく、疑問に対する前提や理由までしっかりと読むようにしないと、逆に損をしてしまう可能性があるのでご注意ください。

貯蓄型保険を解約した方が良い理由

元本割れが気になり、貯蓄型保険の解約を検討している方も多いのではないでしょうか。

貯蓄型保険とは、保険商品の名称ではなく、下記のように様々な種類が存在します。

貯蓄型保険の種類

 ・個人年金保険

 ・養老保険

 ・終身保険

 ・学資保険

 ・ドル建て終身保険

 ・ドル建て変額保険 など

このように種類は様々ありますが、いずれも基本部分はほぼ同じで、加入した時点で損をしやすい保険商品と言えます。

貯蓄型保険のよくあるセールストークとして、下記のような話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

貯蓄型保険のよくあるセールストーク

 「銀行の預金よりも利回りが良いですよ!」

 「保険としての保障も付いていますよ!」

 「生命保険料控除で節税できますよ!」

貯蓄型保険を契約した方は、自分が優れた保険に加入したと感じていることでしょう。

しかし、このようなセールストークは、貯蓄型保険の表面的な側面に過ぎません。

貯蓄型保険の裏側を見ると、高額な手数料を含む2つの要素が組み合わさった商品であるという別の側面が見えてきます。

貯蓄型保険の別の側面

  あまりお金が増えない、手数料の高い投資商品。

  保障が薄く、手数料の高い保険商品。

投資と保険は分けるべきです。

手数料が割高な商品をいくら組み合わせても、良い商品になることはありません。

だから、基本的に貯蓄型保険は解約した方が良いんだね!

また、生命保険料控除による大きな節税効果は期待できません。

なぜなら、控除対象額は年間で支払った保険料に応じて上限が設定されているからです。

例えば、個人年金保険料の控除の限度額は下記のようになっています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険料控除制度とは?」
個人年金保険料控除の限度額

 ・所得税:最大40,000円

 ・住民税:最大28,000円

  ※2012(平成24)年1月1日以降に結んだ契約が対象

では、どのくらい個人年金保険料控除の節税効果があるのか確認してみます。

保険契約者の所得税率が10%、住民税率が10%の場合、個人年金保険料の控除額は下記の通りです。

個人年金保険料控除額の算出

 ・所得税の控除額:40,000円 × 10% = 4,000円

 ・住民税の控除額:28,000円 × 10% = 2,800円

  → 控除額の合計:6,800円

節税効果は、1年間でたったの6,800円くらいです。

加入している保険自体が優れた商品であれば、生命保険料控除による節税効果もメリットとなるかもしれません。

しかし、もし保険商品そのものが大きな損失を出している場合はどうでしょうか?

例えば、貯蓄型保険に加入して10万円の損失が生じているとすると、6,800円の節税効果ではトータルでは大きな損失です。

生命保険料控除による節税効果は、損失を補填するためのわずかな助けにしか過ぎません。

そのため、貯蓄型保険という商品を購入した時点で結果は既に決まってしまっており、下記のどの選択肢も結局は損失につながると言えるのです。

損失に繋がる選択肢

  貯蓄型保険へ加入すること

  貯蓄型保険を継続すること

  貯蓄型保険を解約すること

では、なぜ損失に繋がるのかシミュレーションしてみよう!

貯蓄型保険の対応別のシミュレーション

例えば、毎月3万円を4年間支払っている、ドル建て終身保険を今すぐ解約するとします。

契約してから4年目の返戻率が74.2%の場合、保険を解約すると下記の通りです。

保険を解約するケース

 ・契約してから4年目の返戻率:74.2%

 ・払込保険料の総額:144万円(3万円 × 12カ月 × 4年間)

 ・解約返戻金の額:約107万円(144万円 × 74.2%)

  → 損失額:マイナス約37万円

この場合、トータルで約37万円の損失となります。

この結果を見ると、「損失が気になるから、まだ貯蓄型保険を続けた方が良いのかな?」と考えるかもしれません。

貯蓄型保険を続けることで、本当に損失が抑えられるかどうか見てみよう!

貯蓄型保険の2つの対応ケース

 ①元本割れが気になり解約を先延ばしにするケース

 ②早めに解約して投資と保険を分けて組み直すケース

シミュレーション①:元本割れが気になり解約を先延ばしにする

まずは、先ほどのドル建て終身保険の元本割れが気になり、解約せずに5年目まで続けた場合のシミュレーション結果を確認してみます。

元本割れが気になり解約を先延ばしにするケース

 ・契約してから5年目の返戻率:78%(※4年目の返戻率は74.2%)

 ・払込保険料の総額:180万円(3万円 × 12カ月 × 5年間)

 ・解約返戻金の額:約140万円(180万円 × 78%)

  → 損失額:マイナス約40万円

この場合、トータルで約40万円の損失となります。

確かに、1年経過し74.2%だった返戻率が78%にアップしましたが、返戻率が上がっても約140万円しか戻りません。

その上、損失が約37万円から約40万円へと増えており、損失がさらに広がっています

解約を先延ばしても、損失が増えてしまうんだね…

保険加入初期に解約するとなぜ損失が生じるのでしょうか。

その理由の一つは、保険契約の初期段階で保険会社に数十%の手数料が差し引かれることです。

さらに、具体的な手数料の明示はされていません。

これまでの内容を読んで、「保険加入初期で解約すると損失が生じるのなら、15年や20年といった長期間加入し続ければ最終的には損しないのではないか?」と考える人もいるでしょう。

確かに、貯蓄型保険の返戻率が100%に達するまで待てば金銭的には損をしないことになりますが、下記のようなデメリットも考慮する必要があります。

貯蓄型保険の返戻率が100%になるまで待つデメリット

  保険としての保障額がそもそも不足している可能性がある。

  15年や20年と長く資金が拘束されたのに、リターンが小さすぎる。

  リターンが小さいので、インフレに負けてしまうリスクが高い。

貯蓄型保険に加入も継続も、あまり良い選択肢ではないんだね…

シミュレーション②:早めに解約して投資と保険を分けて組み直す

続いて、先ほどのドル建て終身保険を​​加入4年目で解約し、投資と保険を分けて組み直すケースを確認します。

解約後に投資と保険を分けて組み直すケース

 ✅条件

 ・保険を4年目で解約後に返戻金の107万円を元手に投資を始める

 ・保険料として支払っていた月3万円のうち月2万円を投資に回す

 ・年利5%で16年間運用する

 ・残りの月1万円で掛け捨て保険に加入して万一の場合の保障を準備する

 ✅資産運用の結果

 ・元本:491万円(初期107万円 + 月2万円 × 12カ月 × 16年)

 ・運用益:約333万円

  → 合計:約824万円

出典:三菱UFJ国際投信「つみたてシミュレーション」

上記の場合、資産運用の結果は元本の491万円に対して約333万円の運用益が生じ、合計で約824万円になります。

さらに、掛け捨て保険に加入すれば、当初の保険よりも保険料を減らしながら保障額を増やすことができるはずです。

ここで「年利5%で運用できる商品はあるのだろうか?」と、疑問に思った人もいるでしょう。

しかし、優良なインデックスファンドを15年以上の長期間運用する場合、過去の統計データから判断しても年利5%は現実的な数字と言えます。

実際、アメリカで行われた研究によると、1950年から2017年までの期間において、15年以上の長期運用を行った場合、どの時期から投資を始めてもマイナスにならなかったというデータも存在します。

出典:日経BOOKプラス「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版>」
投資期間と年平均リターンのちらばり方

 ・最高の15年間に投資した場合の成績は +18.9%

 ・最悪の15年間に投資した場合の成績でも +4.2%

長期的に見れば、貯蓄型保険よりも「掛け捨て保険と長期投資」に組み直す方が保証も充実するし、資産も増やせそうだね♪

投資と保険を明確に区別し、高額な手数料によって資金を失わないようにすることで、自身の資金を守ることができます。

もし保険会社が手頃な手数料で資産運用を代行してくれるのであれば、それは好ましい状況ですが、現実には支払う手数料があまりにも高額です。

現在では誰もが低コストで米国株式や全世界株式などに投資できる時代です。

自分で実践できることを、高額な手数料を支払ってまで人に任せないようにしようね!

ただし、「損失を一刻も早く取り戻そう!」と焦ることは避けるべきです。

なぜなら、冷静さを失って無理な投資を行い、不必要なリスクを取る可能性があるからです。

資産運用に取り組む際には、下記のような姿勢が重要です。

資産運用への姿勢

 ・手数料の高い、資産が増えない投資信託をやめる。

 ・手数料の安い、真っ当な投資信託に乗り換える。

 ・15年〜20年の長い期間で、資産を増やしていく気持ちで取り組む。

貯蓄型保険が持つ2つの特徴

先のことを考え、保険を解約して投資に切り替えることが良いと分かっていても、目の前の損失を受け入れることができない人は多いでしょう。

なぜなら、人間は損失を避ける傾向があるからです。

また、投資にはリスクがあり、損失を被る可能性もあるため、なかなか行動に移せない人もいます。

しかしそんな時こそ、貯蓄型保険の投資と保険の2つの特徴を別々に考えてみる必要があります。

貯蓄型保険の投資と保険の2つの特徴

 ①リターンが小さく手数料が割高な投資信託

 ②保障が薄い保険商品

特徴①:リターンが小さく手数料が割高な投資信託

貯蓄型保険はリターンが小さく手数料が割高な投資信託です。

投資先としておすすめしないのには、下記の理由があります。

貯蓄型保険を投資先としておすすめしない2つの理由

 ・元本がほとんど増えない

 ・パンフレットに記載の積立利率や予定利率がまぼろしである

・元本がほとんど増えない

貯蓄型保険では、元本割れ期間が長く、20年近くかかってやっと元本に戻り、わずかに返戻率が105%になる商品がいくつも存在します。

しかし、20年以上の期間をかけた場合でも、インフレリスクを考慮すると、リターンが十分とは言い難いです。

ちなみにインフレとは、物やサービスの価値が上昇し、お金の価値が相対的に下がることを指します。

・パンフレットに記載の積立利率や予定利率がまぼろしである

積立利率や予定利率などについて、下記のように書かれている保険のパンフレットは数多くあります。

保険のパンフレットに書かれてある内容

 「予定利率2.5%が最低保障です。」

 「積立利率3.5%で運用できれば、最終的にここまで増えます。」

パンフレットに記載されている情報から、「運用利回りの最低保障が2.5%ってすごい!」と考えてしまう人も多いでしょう。

しかし、保険の予定利率や積立利率と、銀行の金利の意味は全く違います。

ここは勘違いしてしまう人が多いから、詳しく解説するね!

例えば、保険のパンフレットには積立利率2.5%と記載されていたとします。

しかし、実際には保険料全体が2.5%で運用されているわけではなく、保険会社が設定した一定の割合のみが運用対象となります。

さらに、その割合の数値は公開されていないことが多く、最終的な利回りを把握するには計算が必要です。

概算ですが、積立利率2.5%の場合、保険料の約16%〜20%が実際に運用に回されることが多いです。

実際は、保険料の運用利回りは2.5%ではなく、0.4%〜0.5%ほどで運用されていることになるね…

また、運用に伴う貯蓄型保険の手数料も非常に割高です。

実際には、貯蓄型保険の手数料は信託報酬に換算すると2%以上にもなることがほとんどです。

一方、優れた投資信託は0.1%程度の信託報酬で利用できることを考えると、貯蓄型保険では20倍以上の高い手数料を支払っていることになります。

特徴②:保障が薄い保険商品

貯蓄型保険は、保険料に対して保障が限られており、保険としての機能が弱い商品が多い傾向があります。

例えば、月々の保険料が高い約3万円であっても、死亡保障額が1,000万円というケースが珍しくありません。

特に子供のいる家庭では、生活費や教育費を保険でカバーしようとすると、1,000万円の死亡保障では十分とは言い難いでしょう。

もし一家の大黒柱に不幸があった場合、下記のような状況になっていたら本末転倒と言えるでしょう。

本末転倒な状態

 ・貯蓄型保険に入っていても、保険の保障額が十分ではなかった。

 ・貯蓄型保険に多くの保険料を支払っていたので、他に貯蓄ができなかった。

残された家族の生活を守るために「なぜ保険に加入したのか?」を考えてみましょう。

ちなみに、保険で死亡保障を準備する必要があるのは、子育て世帯のみです。

そのため、子供のいない家庭では、実際には死亡保障が必要ないケースが多いです。

ここまで読んでも中には、「貯蓄型保険を解約して損を切る」という選択をなかなか受け入れられない人もいるかもしれません。

そんな場合は、解約による損失を「以前から支払っていた高い掛け捨て保険の支払いがなくなっただけ」と視点を少し変えるだけでも、心の整理がつきやすくなり、冷静に判断することができるでしょう。

ただし、それでも「貯蓄型保険を解約するのではなく、継続する方が良い場合もあるのではないか?」と感じる人もいるかもしれません。

これは、まさにその通りだね!

もちろん例外もありますので、続いて「貯蓄型保険を継続した方が良いケース」を確認していきます。

貯蓄型保険を解約せずに加入を継続した方が良いケース

貯蓄型保険を継続した方が良い2つのケース

 ①あと数年で元本が戻る場合

 ②学資目的の加入で、あと10年以内に大学入学があるような場合

ケース①:あと数年で元本が戻る場合

長期間にわたり貯蓄型保険に加入しており、解約返戻金が数年後に100%以上に達する見込みの場合は、貯蓄型保険の継続を考える方が良いでしょう。

なぜなら、現時点で解約すると最終的な元本回復期を逃してしまう可能性があるからです。

特に50代以上で、長期間にわたり貯蓄型保険に積み立ててきた方々は、退職までの時間が限られています。

このような場合、投資に切り替えて損切りすることは高いリスクを伴うため、貯蓄型保険を満期まで継続することをおすすめします。

ケース②:学資目的の加入で、あと10年以内に大学入学があるような場合

学資目的で貯蓄型保険に加入しており、将来的に10年以内に大学入学が予定されている場合は、貯蓄型保険の継続を検討してもいいでしょう。

なぜなら、10年以内に資金が必要な状況で保険を解約してしまうと、元本割れによる損失分を投資で取り戻す期間がないからです。

投資の元本割れリスクを抑えるには、15年以上の投資期間が必要だったね!

ただし、学資目的の保険に加えて現金での貯蓄もある場合で、将来の学費を現金で支払うことが可能ならば状況は異なります。

また、解約返戻金を学資目的ではなく老後資金の目的に転用できる場合は、貯蓄型保険の解約を検討してもいいでしょう

なぜなら、たとえ損失が発生したとしても、投資によって損失分を回復する十分な期間を確保できるからです。

貯蓄型保険を見直す時の注意ポイント

貯蓄型保険を解約することを決めた場合、保険会社から提案される可能性が高いのが、払い済み保険への変更です。

払い済み保険は、保険料の支払いを中止できる代わりに保険金額が減額される制度です。

解約時の返戻金を元に、払い済み保険に変更することで、今後は保険料の支払いが発生せず、引き続き保障を受けることができます。

しかし、損失を避けたいという心情から、貯蓄型保険から 払い済み保険への変更を行うことは、おすすめしません

なぜなら、効率が悪いから解約したはずの保険を、解約返戻金で再び購入することになってしまうからです。

保険は下記の2択で考え、判断していきましょう。

保険の対応の選択肢

 ・加入していても意味のある保険なら継続する

 ・加入していても意味のない保険なら解約する

そして、貯蓄型保険が家計に影響を及ぼしているケースも少なくありません。

家計のやりくりで悩んでいる人

 ・毎月のやりくりが困難になり、リボ払いを始めてしまった。

 ・子どもがやりたがっている習い事をさせられない。

 ・子どもがいるにもかかわらず、十分な保障の保険を準備できていない。

このように悩んでいる方の中には、「貯蓄型保険に加入しており毎月の保険料の負担に悩んでいる」という方もおられるでしょう。

結婚や子育て、介護などのライフイベントに伴い、貯蓄型保険の加入時には想定していなかった支出が発生するケースは十分に考えられます。

高額になりがちな貯蓄型保険の保険料は、間違いなく家計をひっ迫します。

貯蓄型保険により、資金を長期間拘束させたまま、さらに間違ったお金の使い方をしてしまい、どんどん選択する自由をなくしてしまう状態になりかねません。

何度も言いますが、投資と保険は分けて考えることが重要です。

保険は本来、起こる確率は低いものの、遭遇すると生活が困るようなトラブルに備えて加入するものです。

投資と保険を分けて考え、早めに「適正なリスクをとった資産運用 + 掛け捨て保険」の組み合わせに切り替えていきましょう。

この組み合わせは、貯蓄型保険よりも優れた選択肢となります。

保険の見直しを行い、支出を最適化することで、元の保険に比べて保障を向上させ、長期的には資産も増やすことができる可能性が高いでしょう

まとめ

この記事では、下記の疑問に対して解説してきました。

よくある疑問と回答

 Q.疑問:貯蓄型保険を解約すると元本割れするけど、それでも解約した方が良いのかな?

 A.回答:基本的に、貯蓄型保険は解約した方が良いでしょう。

 ・貯蓄型保険を途中解約すると損してしまうというより、貯蓄型保険に加入した時点で損をしていたといえる。

 ・投資と保険は分けて考えることが大切。

 ・「適正なリスクの資産運用 + 掛け捨て保険」の組み合わせが、貯蓄型保険を上回る選択肢となる。

・貯蓄型保険の特徴

貯蓄型保険は、投資と保険の2つの特徴を持つ商品です。

貯蓄型保険の投資と保険の2つの特徴

  リターンが小さく手数料が割高な投資信託

  保障が薄く、手数料の高い保険商品。

貯蓄型保険では、契約当初の段階で保険会社に数十%の手数料が引かれます。

解約を延ばしても、損失が軽減されるとは限らず、継続することで損失が増える可能性が高くなります。

また、生命保険料控除の節税効果は、損失を補うほど大きくはありません。

貯蓄型保険の解約返戻金が100%になるまで待てば、金額的な損失はありませんが、下記のようなデメリットが考えられます。

貯蓄型保険の返戻率が100%になるまで待つデメリット

  そもそも保険としての保障額が不足している可能性がある。

  15年や20年と長期間資金が拘束された結果としては、リターンが小さすぎる。

  リターンが小さいので、インフレに負けてしまうリスクが高い。

投資と保険を分けて考え、早めに「適切なリスクを取った資産運用 + 掛け捨て保険」の組み合わせに切り替えていくことをおすすめします。

長期的な視点で考えると、貯蓄型保険に加入していた状態よりも保障を充実させ、資産を増やす可能性が高いです。

また、資産運用に取り組む際には、下記のような姿勢を持つことが重要です。

資産運用への姿勢

 ・手数料の高い、資産が増えない投資信託をやめる。

 ・手数料の安い、真っ当な投資信託に乗り換える。

 ・15年〜20年の長い期間で、資産を増やしていく気持ちで取り組む。

損失を取り戻そうと焦って無理な投資をしないようにしよう!

・貯蓄型保険を解約せずに継続した方が良い2つのケース

貯蓄型保険を解約せずに加入を継続した方が良いケースは下記の通りです。

貯蓄型保険を継続した方が良い2つのケース

 ✅長期間にわたり貯蓄型保険を積み立てており、あと数年で解約返戻金が100%以上になる場合。

 ・解約すると最後の元本回復期を逃してしまうので、最後まで保険を継続した方が良い。

 ・長く貯蓄型保険で積み立てている50代以降の人は、仕事の引退まであまり時間がないので、投資に切り替えるのはリスクが高い。

 ✅学資目的で加入し、あと10年以内に大学入学があるような場合。

 ・10年以内に資金が必要な状況で保険を解約すると、元本割れによる損失分を投資で取り戻す期間がない。

 ・ただし、解約返戻金の使い道を学資目的から老後資金目的へ切り替えられるなら、貯蓄型保険の解約を検討しても良い。

・貯蓄型保険を見直す時の注意ポイント

保険の解約時に、保険会社から払い済み保険への変更を提案されることがあります。

しかし、貯蓄型保険の解約後に払い済み保険への変更は、おすすめしません

その理由は、効率が悪いから解約した保険を解約返戻金で再び購入することになるからです。

保険は下記の2択で考え、判断していきましょう。

保険の対応の選択肢

 ・加入していても意味のある保険なら継続する

 ・加入していても意味のない保険なら解約する

既に加入している保険を解約するべきかどうかは、保険の契約状況や加入目的、皆さんの資産状況などによって異なります。

重要なのは保険の目的や必要性を考慮し、自らが最終的な判断を行うことです。

「投資と保険」は分けて考えようね!