【税金の無駄遣い3選】私たち国民の税金はどこへ消えていく?

【税金の無駄遣い3選】私たち国民の税金はどこへ消えていく?

最近、「増税」に関するニュースをよく目にすることが多くなってきました。

増税に関するニュースを見るたびに、このように感じる方がいるかもしれません。

増税のニュースを見た人の声

  「増税増税って言う前に、税金の『使い方』を見直してよ!」

皆さんも気付いているかもしれませんが、税金は実際に無駄遣いもされているのです。

以前、「五公五民」というフレーズが注目されました。

五公五民とは

 【江戸時代の租税徴収の比率を表した言葉】

  ●収穫の半分は年貢として納める。

  ●残りの半分を農民のものにする。

このように江戸時代は「半分は国のもの・半分は自分のもの」という時代でした。

下記の、国民負担率の国際比較を行ったグラフをご覧ください。

国民負担率というのは、国民所得に占める税金等の割合を示した指標です。

グラフ赤枠の2023年度を見てもらうと、国民負担率は46.8%となっています。

今では、所得の約半分が税金・社会保険料ということです。

ですが、現在は江戸時代の「五公五民」と同じというわけではありません。

この国民負担率には、カラクリもあります。

そのため、単純にこの数字だけを見て騒ぐことはあまり意味がありません。

しかしながら、国民の税負担が増加しており、多くの人々が生活が苦しいと感じているというのは事実です。

国民として、税金の使われ方を把握することが重要です。

不正行為を行っている人々にとっては、「誰かがしっかりと理解している」ということは非常に恐ろしいことです

何も知らずに無関心な人が多いほど、こういう不正行為はなくなりません。

理解がある人が増えれば、不正を行うことが難しくなるね!

この記事では、毎日新聞社の記者 高橋祐貴氏の著書「追跡 税金のゆくえ~ブラックボックスを暴く~」で紹介されている、税金の3つのブラックボックスについて紹介していきます。

税金の3つのブラックボックス

  ①五輪予算

  ②バラまかれたコロナ支援金

  ③地域のしきたりが搾取する公金

税金の3つのブラックボックス

ブラックボックス①:五輪予算

1つ目のブラックボックスとは、五輪(オリンピック)予算です。

日本経済新聞「東京五輪経費1兆6989億円、2割上振れ 会計検査院指摘」という記事によると、東京五輪にかかったコストは総額1兆6,989億円とのことです。

では、誰がどのように負担したのかを示す下記のグラフをご覧ください。

東京五輪にかかったコスト

 ①東京五輪の組織委員会:6,404億円

  → スポンサー収入やチケット売上などで賄う

 ②東京都:5,965億円

  → 東京都民の税金で賄う

 ③国:4,668億円

  → 国民の税金で賄う

都民・国民の税金が約1兆円も投入されているね!

このような金額が関わっているならば、「お金は確実に管理されているだろう!」と思いたいところですが、実際は下記のようにお金の管理がガバガバでした。

お金の管理がガバガバだった例
・五輪の経費は、招致時に試算した7,000億円から2.4倍に膨張する結果に。
・国が積み立てた開催準備基金は、2022年10月末時点で380億円も余っている
・国立競技場は民営化に向けた計画が決まらず、56億円の維持管理費を垂れ流している

想定していた経費の2.4倍まで膨れ上がったのは異常事態だね!

例えば、子どもに「700円のおもちゃを買うからお金ちょうだい」と言われ、財布を渡したところ、結果的に1,700円も使用されるようなものです。

子どもならまだ許容できるかもしれませんが、大人の世界ではこのように大きく金額が増えることはあり得ません。

さらに恐ろしいのは、このような事が氷山の一部に過ぎないという点です。

オリンピックの運営は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以後=組織委員会)が主導しました。

オリンピックの運営には、多くのスタッフが必要でしたが、そのスタッフをどのように集め、管理したのでしょうか?

勘のいい人ならば、「民間企業に対してお金を払って”丸投げ”すればいい」と思いつくでしょう。

丸投げのイメージ

 組織委員会:「お金はあるから、なんか良い感じでやっといてよ!」

 民間企業:「分かりました!」

  →民間企業は、組織委員会から受け取ったお金の一部をピンハネして、さらに下請け企業に業務を丸投げ。

 民間企業:「お金はあるから、なんか良い感じでやっといてよ!」

 下請け企業:「分かりました!」

このように、丸投げが連鎖していきます

続いて、下記の図をご覧ください。

出典:高橋祐貴 著「追跡 税金のゆくえ」

見て頂きたいところは、赤枠「大会関係費用」です。

このような費用が、「民間委託」されていることが分かります。

では組織委員会から仕事を丸投げされた企業は、一体いくらで仕事を引き受けていたのでしょうか?

人件費の単価(例)

 ・運営統括:日額最大30万円

 ・チーフ:日額最大20万円

 ・ディレクター:日額最大20万円

 ・スタッフ:日額最大12万円

これは、月額じゃなくて「日額」だよ!

そして、民間企業は下記のように計算し、請求していたようです。

民間企業の請求方法(例)

 ①上記の人件費単価と同水準の人件費を見積もる

  (例:ディレクターが30日働くなら、20万円 × 30日 = 600万円)

 ②人件費の総額に、自分たちの利益を10%~15%ほど上乗せして請求する

これでは、オリンピックの運営費用がかなりの高額になるのも当然です。

しかも先ほどの単価のうち、実際に給料として支払われる金額は6割程度とのことです。

残りの4割が「ピンハネ = 企業の利益」されてたってことだね!

オリンピックの仕事を受けた企業は、かなり儲けることができたでしょう。

しかし実際には、ここでの事例以上に深刻な闇が存在しています。

これらの民間企業は、情報を開示する義務がありません

つまり、国民が「実際にいくら費やされたのか?」や「それは適切な支出だったのか?」といった問い合わせに、対応をする必要がないということです。

なにか聞かれても、「事情があるのでお答えできません」で済んでしまう…

政府関係者や東京都が情報開示を求めても、「何も情報が出てこない、もしくは黒塗りの資料しか出てこない」という状態で、まさにブラックボックスのような状態です。

皆さんの予想通り、オリンピックの仕事を受けることができる民間企業は、利権を握っているエリートたちと関係があるようです。

国民や都民の税金約1兆円が、利権を握っている人々の利益のために使われているとしたら、皆さんはどのように感じるでしょうか?

国民の怒りの声

 「お金のない人から集めた税金を、お金のある人に回してどうするんだ!」

 「まず、税金の無駄遣いから何とかしろ!」

このような声が上がるのは当然だね!

ブラックボックス②:バラまかれたコロナ支援金

2つ目のブラックボックスとは、コロナ関連の支援金です。

代表的なところで、ゼロゼロ融資を紹介していきます。

「通常の融資の流れ」を示した、下記の図をご覧ください。

出典:高橋祐貴 著「追跡 税金のゆくえ」
通常の融資の流れ

 ①企業はお金を借りるために担保を差し出す

 ②銀行はお金を貸す(融資する)

 ③企業は利子を支払う

①の担保は、「もしも借金を返せなかったら、自宅を好きにしていいですよ」というように、借金が返せなかった時の保証として差し出す財産などを指します。

つまり企業は「①担保」と「③利子」を出すことで、「②融資」を受けている(お金を借りる)ということです。

コロナ禍で話題にもなったゼロゼロ融資とは、担保・利子が両方不要(ゼロゼロ)で融資します!という制度です。

「企業にどんどんお金を貸してあげるよ」ってことだね!

銀行はなぜ、担保ゼロ・利子ゼロで貸せたのでしょうか?

下記の図をご覧ください。

出典:高橋祐貴 著「追跡 税金のゆくえ」

金融機関がゼロゼロ融資をできたのは、政府による支援があったからです。

上記画像①のように、都道府県が利子を補給し、②のように、仮に企業が倒産して銀行が貸したお金を回収できなかったとしても、信用保証協会という組織が損を被ってくれます

どう転んでも、銀行は損しないってことだね!

簡単にいえば、貸せば貸すほど儲かる仕組みです。

都道府県が負担する利子や、企業の倒産によって信用保証協会が被る損失は、結局のところ国民の税金によって賄われます。

見方によっては、中小企業を支えたのは金融機関ではなく私たち国民ということです。

そんなカラクリになっていたんだね!

貸せば貸すほど儲かるので、銀行は積極的に融資を行います。

一方で借りる側も、状況が状況ですので簡単に借りることができます。

このように、多くの資金が本当に困っている事業者に提供される一方で、一部の「モラルのない事業者」にも資金が渡りました。

書籍によると、借りる必要のないお金を借りて、株式投資をしていた人もいるようです

無利子で借り入れし、資産運用に利用することで、あらゆることが有利に進められます。

ただし、先程の通り、実際には無利子と言っても国民が利子負担をしている状況です。

また、銀行が投資信託の販売と組み合わせてゼロゼロ融資を勧める事例もあったようです。

銀行もやりたい放題だね…💦

ゼロゼロ融資には下記のように、ブラックボックスが存在しています。

ゼロゼロ融資のブラックボックス
・どんな人がお金を借りたのか?
・そのお金は何に使われたのか?
・貸す方は何をチェックして貸したのか?
・貸した後のお金はどう管理しているのか?

将来的に、コロナ融資の返済が難しくなり、倒産する企業が増加すると予測されています。

繰り返しになりますが、その際に被害を受けるのは銀行ではなく、国民の税金で運営されている信用保証協会です。

モラルの欠如した事業者を支援するために、大切な税金が使われているとすれば、これほど無駄で悔しいことはありません。

コロナ関連のバラまきは、他にも下記のようなものがあります。

他のコロナ関連のバラまき

 ・地方創生臨時交付金

 ・ワクチン関連の予算

ゼロゼロ融資は、闇のほんの一部分に過ぎません!

ブラックボックス③:地域のしきたりが搾取する公金

3つ目のブラックボックスとは、地域における税金の搾取です。

色々とありますが、今回は「消防団」に焦点を当てて紹介します。

消防団に関する税金を使って、旅行や宴会を楽しんでいる人がいるとのことです。

消防団とは

 ・消防団は、常勤の消防職員が勤務する消防署とは異なる組織。

 ・消防団員は、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を生かした消火活動、救助活動を行う。

 ・消防団員は、非常勤特別職の地方公務員扱い。

「火の用心!」という掛け声を聞いたことがあるね!

かけ声とともに地域の見回りをしたり、火災現場で消防職員や警察官とともに、火消しや交通整理をしたりするのが消防団員の役目です。

消防団員は非常勤の地方公務員ですので、少額ながら報酬が出ます

消防団員の報酬イメージ

 ・基本給に相当する部分:年36,500円

 ・その他、消火活動や訓練参加などの出動報酬:1回あたり8,000円

上記の報酬は、各市町村が条例で定め支給しています。

この報酬が消防団員本人に渡っていないケースが多々あるようだね!

報酬が本人に渡らないのは、下記のような仕組みが原因と言われています。

消防団員本人に報酬が渡らない仕組み
・消防団員に、銀行口座を新規開設させる。
・口座の通帳やキャッシュカードを、消防団の幹部が回収する。
・行政から振り込まれる報酬を、団員個人に渡さずに不正利用する。

このようにして、一部の地域の有力者・消防団の幹部は、不正に得たお金で旅行や宴会を楽しむということです。

銀行口座の通帳などを、口座開設者以外の人に渡したり、第三者が口座を管理することは、法律で厳しく禁止されています。

その理由は、マネーロンダリングなどに悪用される可能性があるからです。

法律的にも色々とアウトだね!

続いて、下記のグラフをご覧ください。

出典:高橋祐貴 著「追跡 税金のゆくえ」

2020年4月時点において、個人に直接支給されている出動報酬は、なんとたった「36%」しかありません。

ここで中抜きのチャンスが生まれ、ブラックボックスの要因となっています。

総務省が、直接個人に手渡しを行うよう指示したことで、状況はいくぶん改善されたようですが、まだ改善の余地があります。

さらには、存在しない消防団員を実在するかのように申告し、不正に報酬を受け取るといった悪質なケースも存在します。

俗にいう「幽霊団員」問題だね!💦

なんと、2018年~2019年の2年間で、116の自治体に少なくとも4,776人の幽霊団員がいたことが分かっています。

この幽霊団員に支払った報酬の総額は、3億円を超えるようです。

そして、地域における税金のブラックボックスは、消防団だけではありません。

書籍の中では、「中山間地域等直接支払制度」という制度の闇も紹介されています。

国から地域に割り当てられる交付金が、一部の有力者の孫のお小遣いになるなど、農家に公平に配分されていない事例もあると伝えられています。

有力者が、行政から受け取った資金を私物化するなどの事態は、多くの人にとって許しがたいものだと感じられるでしょう。

この現実を、私たちはしっかりと認識しておくべきです。

まとめ

この記事では、書籍「追跡 税金のゆくえ~ブラックボックスを暴く~」をもとに、税金の3つのブラックボックスについて解説してきました。

税金の3つのブラックボックス

 ①五輪予算

 ②バラまかれたコロナ支援金

 ③地域のしきたりが搾取する公金

では、このような日本で生き延びていく為に、私たちはどんな行動をとればいいのでしょうか?

●現実を知ろう!

とにかく、知ろうとしない限り何も始まりません。

税金や社会保険の話は難しいから、下記のように考える方もいるかもしれません。

・私には分からない!
・関係なさそうだから別にいいか!

ですが、それでは自分たちの首を締めることになります。

最初にもお伝えしたように、不正行為を行っている人々にとっては、「誰かがしっかりと理解している」ということは非常に恐ろしいことです。

人目の多いところで不正はできません。

まずは知ることから始めましょう。

知る人が増えれば、解決のために動き出す人たちも出てくるね!

●世の中を良くしようと努力する人を応援する

応援の一番分かりやすい方法は、選挙に行って投票することです。

社会問題に切り込むような団体や個人に、寄付をするという方法も良いでしょう。

ただし中には、皆さんの不安を過剰に煽ったりすることで利益を得ようとする人たちも存在します。

そのような人々に対しては、見極めや距離感を持つことが重要です。

見極める力と適切な距離感を持ちながら、自分のできる応援をしていきましょう!

この記事では、税金の闇に触れてきました。

悪い使われ方をしている税金もありますが、もちろん良い使われ方をしている税金も多くありますので、全てが悪いと勘違いしないようにして下さい

しかし、「良い使われ方もあるから、少し悪い使われ方をされても別に良いか」という認識はダメです。

この問題を1人の力で解決するのは難しく時間もかかりますが、悪いものは悪いので、皆さんがスルーしていると不正はますます多くなるでしょう。

しっかりと幅広い視点から見極め、全体的な評価を行いましょう。

SJKCollegeでは、このような「お金に関する勉強」をしています。

何度も言うようですが、まずは「知る」ところから始めよう!