【知らないと損する】社会保険の仕組みとは?社会保険料を安くする方法も解説!
- 2023.05.16
- お金の教養
毎月給与から社会保険料が引かれていると思いますが、その保険について理解されていますか?
社会保険の仕組みは非常に複雑ですが、必ずしもすべてを完璧に理解する必要はありません。
ただし、最低限の知識がない場合、不必要な保険に入ってしまったり、受け取れるはずのお金を受け取り損ねたりすることがあります。
この記事では、社会保険の仕組みと社会保険料を安くする方法について解説していくよ♪
社会保険にはどんな保険がある?
社会保険とは、病気や老後などのリスクに備え、国民の生活を守るための社会保障制度のことです。
①病気・ケガのリスク
②障害リスク
③死亡リスク
④失業リスク
⑤老後リスク
⑥介護リスク
⑦出産費用のリスク
日本は国民皆保険制度を導入しており、誰もが社会保険によって最低限の保障を受けることができます。
ですので、リスクに備える戦略は社会保険を中心に考えるべきでしょう。
・社会保険を活用
・社会保険でカバーできない部分を民間保険で補う
社会保険を学ぶことが重要だということがわかるね!
社会保険には、「広義の社会保険(広い意味での社会保険)」と「狭義の社会保険(狭い意味での社会保険)」があります。
つまり、「社会保険」という言葉の示す範囲は2通りあり、時と場合によって、広い意味で使われることもあれば、狭い意味で使われることもあります。
広義の社会保険とは、医療保険・年金保険・雇用保険・労災補償保険の総称です。
上の画像では、全体を大きく囲むオレンジ色の部分です。
狭義の社会保険とは、健康保険と厚生年金および介護保険の総称です。
上の画像では、赤色で囲まれた部分です。
雇用保険・労災補償保険をまとめて労働保険と呼びます。
このように、社会保険と言っても広義の意味と狭義の意味で何を示しているのかが変わります。
ここでは、「広義の意味での社会保険」について解説していくよ!
労働保険
労働保険は、雇用保険(失業保険)と労災補償保険に分けられます。
・雇用保険(失業保険)
失業した際に、一定期間お金が貰える保険。
・労災補償保険(労災保険)
業務中や通勤中に起きたケガや病気による医療費や収入減に対する保険。
●雇用保険(失業保険)
失業リスクに備えられるのが雇用保険の失業給付です。
失業給付は、雇用保険の被保険者が失業した際にもらえるお金であり、下記の条件を満たすことで受給できます。
・ハローワークで求職の申し込みを行い、働く意思があるのにも関わらず、職業に就けない状態であること。
・原則、離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算12カ月以上あること。
受給額は「賃金日額 × 給付率 × 所定給付日数」で計算されます。
給付率や所定給付日数は、細かく設定されていますが、大まかな特徴は下記の通りです
給付率
・賃金日額や年齢によって変わる
・賃金が低いほど高い給付率
・45~80%
所定給付日数
・90~360日
・受給期間は「離職時の満年齢・雇用保険の被保険者であった期間・離職の理由」で決まる
では、具体的な例で確認してみます。
条件
・年齢:35歳
・就業年数:13年間
・退職前6カ月の賃金総額:216万円(賞与は含めない)
受給額
・賃金日額 = 216万円 ÷ 180日 = 1.2万円/日
・給付率:50%
・所定給付日数:120日
「賃金日額 × 給付率 × 所定給付日数」
→ 1.2万円 × 50% × 120日 = 72万円
詳しく知りたい場合は、厚生労働省やハローワークのホームページでご確認ください。
受給期間や金額だけでなく、受給開始時期も個人差があるので注意しよう!
失業給付の受給開始時期は、退職理由が「会社都合」か「自己都合」かによって異なります。
会社都合の場合は、1回目の受給までに約5週間かかりますが、自己都合の場合は約3カ月かかります。
したがって、自己都合で会社を辞める場合は、失業給付を受け取るまでの期間に備えて生活費を用意する必要があるため、注意が必要です。
また、雇用保険には就業手当、育児介護休業給付金、教育訓練給付金など、さまざまな制度があります。
特に教育訓練給付金制度を活用することで、受講料の一部を国から支給されるだけでなく、スキルアップも可能です。
・一般教育訓練給付金
・特定一般教育訓練給付金
・専門実践教育訓練給付金
教育訓練給付金は種類によって、受講できる講座や支給額が違います。
特定一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金を受ける場合は、受講1カ月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブカードを作成する必要がありますので注意しましょう。
●労災補償保険(労災保険)
労災保険は、業務中・通勤中のケガや病気の治療費を補償する保険です。
その中でも心強い制度の一つが休業補償給付です。
ケガや病気で働けなくなった場合、治るまで月給の約8割を支給してもらえます。
さらに、療養開始後1年半経過しても治らない場合は、「休業補償年金」の受給が可能です。
労災保険のおかげで、会社員はケガや病気になっても安心だね!
医療保険
日本は国民皆保険ですので、国民全員が医療保険に加入しています。
・健康保険:会社員や公務員が入る保険
・国民健康保険:自営業者やフリーランスが入る保険
・後期高齢者医療制度:75歳以上の高齢者が入る保険
日本の医療保険は、「必要最小限・平等」を理念にしており、保険証があれば全国の医療機関を自由に選択でき、平等な医療を受けることができます。
医療保険を利用する例を3つ解説します。
・治療費の自己負担軽減
・高額療養費制度
・出産育児一時金
治療費の自己負担軽減
医療保険により、病気やケガの治療費の負担額は「原則3割」となります。
つまり、治療費が10,000円の場合、3,000円が自己負担となり、残りの7,000円を国が負担します。
高額療養費制度
高額療養費制度は、医療費が月に一定額を超える場合に、自己負担限度額を超えた分を払い戻す制度です。
・月収30万円の会社員だと、自己負担限度額は月に約8万円。
・長期療養の場合は、「多数該当」によって限度額がさらに下がる。
・入院中の費用や特別室の利用などは自己負担が必要。対象は医療費のみ。
例えば、月収30万円の会社員だと、1ヶ月の医療費が300万円になった場合でも、自己負担額は3割の90万円ではなく、自己負担限度額の約8万円で済むことになります。
出産育児一時金
国民保険や国民健康保険に加入している場合、出産時に40~42万円の出産育児一時金が支給されます。
平均的な出産費用は約50万円なので、出産育児一時金とは別に約10万円のお金を用意しておけば心配ないでしょう。
どの制度も利用するためには申請が必要だよ!
また、自治体によっては独自の制度を用意している場合があるから、自分の住んでいる地域にはどんな制度があるか調べてみてね♪
年金保険
年金保険は国民年金と厚生年金に分けられます。
・国民年金:満額納めることで、年間約78万円の年金がもらえる。
・厚生年金:「勤続年数 × 平均年収 × 0.005481」で算出された金額の年金がもらえる。
国民年金は、「基礎年金」とも呼ばれ、職業や雇用形態にかかわらず全員が加入し、納める保険料ともらえる金額は同じです。
厚生年金は、国民年金に加えて会社員や公務員のみが上乗せして加入するもので、給与に応じて納める保険料が異なります。
高い保険料を納める人ほど将来もらえる年金額が多くなる傾向があります。
年金保険には、ケガや病気にも備える下記の年金もあります。
・障害年金
・遺族基礎年金
障害年金
ケガや病気によって仕事が制限された場合に受給できるのが障害年金です。
障害年金は大きく分けて2種類あります。
・障害基礎年金(2級・1級)
・障害厚生年金(3級・2級・1級)
自営業者やフリーランスの場合、障害年金のうち基礎年金のみが受給できますが、会社員や公務員は障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給できます。
ただし、受給額は年収水準や厚生年金の加入期間に応じて変わります。
平均年収300万円で妻子を持つ35歳会社員が「障害1級」に認定された場合
・障害基礎年金:780,900円 × 1.25 + 224,700円 = 約120万円
・障害厚生年金:約410,000円 × 1.25 + 224,700円 = 約70万円
=年額約190万円(月額約16万円)受給できる
万が一ケガや病気によって障害が残ったとしても、収入が急にゼロになるわけではないから安心だね!
遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、加入者が亡くなった場合に、残された家族に支払われる年金のことです。
・遺族基礎年金
・遺族厚生年金
自営業者やフリーランスは障害年金と同様に遺族基礎年金のみを受け取ることができますが、会社員や公務員であれば、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も受け取ることができます。
遺族年金によって、万が一の場合でも残された家族の金銭的な負担が軽減されます。
受給金額は働き方や年齢、家族構成によって異なります。
特に子育て世帯の場合は、民間の生命保険を検討することも大切です。
しかし、子育て世帯でなければ生命保険は基本的に必要ないため、節約のためにも見直しをしましょう。
介護保険
介護保険は、将来に備えて介護が必要になった場合に、介護サービス利用費の自己負担する割合を1〜3割に抑えることができる保険制度です。
介護保険料は40歳から支払いが必要となります。
日本は少子高齢化が進んでいますので、介護保険制度が始まった2000年度から、約20年で2倍以上になっています。
将来的に介護保険料が上昇する可能性がありますが、民間の介護保険に加入することはお勧めしません。
介護保険は国や市町村が維持するのも困難な制度であり、保険会社がビジネスとして成立させるには、相当高額な保険料を徴収する必要があるためです。
将来の介護リスクに備えるためには社会保険と貯蓄・投資が重要です。
社会保険制度があることを考慮すると、介護リスクに対処するために必要な貯蓄額は約500万円とされています。
500万円というと、大きな金額のように感じるかもしれませんが、40歳から65歳までの25年間に毎年20万円を貯蓄すれば達成可能です。
月々1.7万円程度なら、何とかなりそうだね!
会社員と自営業者やフリーランスにおける社会保険の違い
「会社員」と「自営業者やフリーランス」では、社会保険の保障内容に違いがあります。
会社員の社会保険
会社員の場合、加入している社会保険は下記の通りです。
労働保険
・雇用保険(失業保険)
・労災保険
医療保険
・健康保険
医療保険
・国民年金
・厚生年金
会社が社会保険の手続きを代行してくれるため、自身で加入手続きをする必要はありません。
ただし、制度を利用するためには申請が必要ですので注意してください。
また、会社員の場合、扶養制度を利用できます。
扶養制度を活用すると、一定の収入内であれば扶養家族の保険料を無料にすることができます。
また、会社員は社会保険が充実しているので、民間の保険で備えるべきものは少ないです。
・掛け捨ての生命保険(子育て世帯のみ)
・自動車保険(対人・対物無制限)
・火災保険
不要な保険に入っている場合は、見直すことで固定費を抑えられるね!
自営業者やフリーランスの社会保険
自営業者やフリーランスが加入している社会保険は下記の通りです。
医療保険
・国民健康保険
年金保険
・国民年金
自営業者やフリーランスの場合は、社会保険に加入するために自身で申請が必要となります。
また、会社員とは異なり、労働保険や厚生年金、扶養制度が適用されないため、自己責任で保険に備える必要があります。
社会保障は労働者を守るために作られた制度であり、その結果として会社員に有利な側面があります。
そのため、自営業者やフリーランスは制度を活用しつつ、不足する部分は自身の貯蓄や投資、あるいは民間保険で備えることが必要です。
会社員や自営業者、フリーランスに関わらず、本当に必要な保険だけに加入することが重要だね!
社会保険料の計算方法
続いて、社会保険料の計算方法を解説します。
会社員の社会保険料の計算方法
会社員の場合、社会保険料は給与から天引きされて、会社が国や市町村に支払います。
社会保険には雇用保険、労災保険、医療保険、年金保険など、様々な種類の保険が含まれています。
また、各保険の税率は下記のように定められています。
・健康保険:9.84%(会社が半分負担)
・厚生年金:18.3%(会社が半分負担)
・労災保険:0.3%(会社が全額負担)
・雇用保険:0.9%(会社が一部負担)
・介護保険:1.8%(会社が半分負担)
※人によって税率は変わりますので、おおよその目安になります。
会社員の場合、社会保険料は標準報酬月額(4~6月分の給与の平均額)に上記の税率をかけて計算されます。
ただし、会社が保険料の半分を負担する保険もあり、その場合は自己負担が半分になることもあります。
自営業者やフリーランスの社会保険料の計算方法
自営業者やフリーランスが負担する社会保険料は、国民年金と国民健康保険料になります。
国民年金は月額16,520円と固定されています。
一方、国民健康保険料は前年度の課税所得に応じて毎年異なり、年間約5万円から77万円まで幅があります。
自営業者やフリーランスは、売上から経費や控除を差し引いた課税所得に基づいて国民健康保険料が計算されます。
そのため、適切に経費を活用することで、課税所得を減らし、国民健康保険料を抑えることができます。
会社員と自営業者やフリーランスはどちらが得?
社会保険における、会社員と自営業者やフリーランスのメリット・デメリットをまとめてみました。
〇 メリット
・会社が半分負担してくれる
・扶養制度がある
・保障が手厚い
× デメリット
・節税しにくい
〇 メリット
・支払った社会保険料が全額控除になる
・青色申告特別控除が使える
・法人を作れば選択肢が広がる
× デメリット
・保障が薄い
・扶養制度がない
・年金の受取額が少ない
会社員であっても自営業者やフリーランスであっても、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
どちらがお得なのかは、状況に応じて異なりますので判断することはできません。
社会保険料を安くする方法
続いて、社会保険料を安くする方法について解説します。
会社員と自営業者やフリーランスでは計算方法が異なるので、それぞれ解説していきます。
会社員が社会保険料を安くする方法
会社員の社会保険料は標準報酬月額によって計算されますが、給与を下げて節約するのは得策ではありません。
代わりに、副業をして追加収入を得ることをおすすめします。
これによって、収入が増えれば社会保険料も増えるため、節税効果が期待できます。
会社員が個人事業で稼いでも、社会保険の負担額は増えないよ!
社会保険は重複して加入することができないため、会社員ですでに加入している場合は、個人事業主としての加入はできません。
ですので、理想的なケースは会社員として働きながら、個人事業主としても活動することです。
会社員として
・週20~30時間働いて、社会保険の加入条件を満たす。
・最低金額で社会保険に加入。(会社が半分負担してくれる)
→会社員の手厚い保障が安く受けられる。
個人事業主として
・個人事業で、とにかく稼ぐ。
→社会保険料の負担が増えずに収入が増える。
このような働き方なら、まず会社の給与だけでも最低限の生活費を確保できますし、さらに副業で収入を増やすことができます。
自営業者やフリーランスが社会保険料を安くする方法
自営業者やフリーランスは、社会保険料の計算に前年度の課税所得が関わるため、課税所得を減らすことが大切です。
国民年金は固定費用なので、減らすことはできません。
しかし、国民健康保険料は経費や控除を活用して課税所得を減らすことで、支払額を抑えることができます。
また、マイクロ法人を設立することで、自営業者やフリーランスでも会社員と同様に手厚い社会保険に加入しつつ、節税が可能です。
まとめ
この記事では、社会保険の仕組みと社会保険料を安くする方法について解説してきました。
社会保険とは、病気や老後などのリスクに備え、国民の生活を守るための社会保障制度のことです。
「会社員」と「自営業者やフリーランス」では、社会保険の保障内容に違いがあります。
会社員は手厚い社会保険に加入している一方、自営業者やフリーランスは保障が限られています。
そのため、年金やケガ・病気のリスクなどに対して、自己責任で備える必要があります。
また、社会保険料の決まり方も会社員と自営業者やフリーランスで異なります。
会社員の場合は、標準報酬月額によって社会保険料が計算され、給与から天引きされますが、自営業者やフリーランスは前年度の課税所得に応じて社会保険料が決まり、自身で納付する必要があります。
そして、社会保険料を安くするために、下記の方法を解説しました。
会社員
→副業で、会社員と個人事業主の良いとこ取りをする。
個人事業主として
→経費や控除を活用して、課税所得を減らす。
→マイクロ法人を活用する。
会社員であっても、自営業者やフリーランスであっても、適切な方法を選択することで社会保険料を節約することができます。
節約だけでなく、収入を増やすために稼ぐ力を身につけていこう!