今回のFOMC(2025年10月29日)の決定内容
米連邦準備理事会(FRB)は、10月29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で
政策金利(FF金利)を0.25%引き下げ、3.75〜4.00%とすることを決定。
これで9月に続く2会合連続の利下げとなりました。
さらに同時に、
FRBは量的引き締め(QT=バランスシート縮小)を12月1日で終了すると発表。
6兆6000億ドル規模の資産縮小を止め、
今後は満期を迎える国債を再投資して保有額を安定化させる方針を打ち出しました。
一見すると緩和的(ハト派)な内容。
しかし、マーケットは逆にドルを買い、ドル円は急上昇。
その理由は、
「行動はハト派、発言はタカ派」──
パウエル議長の“慎重トーン”にありました。
「タカ派」と「ハト派」をおさらい
| 比較項目 | 🦅 タカ派(引き締め) | 🕊 ハト派(緩和) |
|---|---|---|
| 目的 | インフレ(物価上昇)を抑える | 景気の悪化を防ぎ、雇用を守る |
| 金融政策の姿勢 | 金利を上げたい・お金の流れを引き締めたい | 金利を下げたい・お金の流れを増やしたい |
| 主な政策行動 | 利上げ/資産の売却/QT(量的引き締め) | 利下げ/資産の購入/QE(量的緩和) |
| 「据え置き」の意味 | 将来的に“利上げ”を視野に入れた様子見(=実質タカ派) | 将来的に“利下げ”を視野に入れた様子見(=実質ハト派) |
| 発言トーン | 強気・慎重・インフレを警戒 | 穏やか・柔軟・景気を支援 |
| 通貨への影響 | 通貨高(例:ドル高・円高) | 通貨安(例:ドル安・円安) |
| 株・暗号資産への影響 | 下がりやすい (お金の流れが減る) | 上がりやすい (お金の流れが増える) |
| キーワード | 「引き締め」「慎重」「インフレ対策」 | 「緩和」「支援」「景気刺激」 |
| 性格イメージ | 厳格・現実的・ブレーキを踏むタイプ | 優しい・前向き・アクセルを踏むタイプ |
今回のパウエル議長発言のポイント
FOMC後のパウエル議長の会見内容を噛み砕くと、以下のようになります👇
1.「利下げはしたが、慎重姿勢を崩さない」
「今回の利下げは“リスク管理”が目的。政策はやや引き締め的である。」
➡ 利下げ自体は実施したものの、
「これは経済のリスクに備えたもので、景気刺激策ではない」というメッセージ。
“緩和モード突入ではない”というタカ派的発言です。
2.「12月の利下げは確実ではない」
「12月の追加利下げは既定路線ではない。」
➡ 市場は“年内さらに利下げがある”と期待していましたが、
パウエル氏はこれを明確に否定。
→ 「これ以上は簡単に金利を下げない」という意思表示=ドル買い要因。
3.「インフレは依然として高止まり」
「インフレ率は目標(2%)に対してやや高い水準を維持。」
「関税引き上げによる物価上昇も一時的とみるが、インフレリスクは上振れ。」
➡ 「物価のリスクが上方向にある」と発言。
つまり「まだ利下げを急ぐ状況ではない」との警戒感。
この一言が、ドル高方向へのトリガーとなりました。
4.「労働市場の弱さ」を認めつつも強気
「労働需要は明らかに弱まっているが、レイオフや失業は低水準を維持。」
➡ 景気減速を認めつつも、「まだ耐えている」と判断。
つまり“利下げによる景気下支え”を急ぐ必要はない、というスタンス。
5.「データ不足により慎重な判断へ」
「政府閉鎖の影響で指標が欠けており、データがなければより慎重に対応する。」
➡ データ不足を理由に、12月の決定も“見極める姿勢”。
要するに「データが悪くない限り、追加利下げはしない」=ドル買い継続。
6.「AI・投資」への言及も
「AI関連投資は金利に敏感ではない。」
「AI関連のレイオフが雇用に影響を与える可能性もある。」
➡ これは今後の注目トピック。
“AIバブル”が経済構造を変えつつあり、FRBがこのテーマを明言したのは象徴的です。
QT(量的引き締め)終了の意味
FRBは12月1日でQTを終了し、
国債満期分を再投資してバランスシートを安定化させます。
これは市場にとって流動性(お金の供給)を増やす方向なので、
中長期的には株・暗号資産にプラス要因。
しかし短期的には、
“金利は下がらない・緩和ペースは遅い”というメッセージが強く、結果としてドルが買われました。
チャート分析(ドル円5分足)

- 発表前:152.20〜152.40円
- 発表直後:急騰して153円突破💥
- 会見後も上値を維持(ドル高・円安)
つまり、
「利下げ=ドル安」というセオリーは通じず、
“発言のトーン”が実際の相場を動かしたという結果です。
億トレ視点でのポイント整理
| 見出し | 内容 | 相場への影響 |
|---|---|---|
| 利下げ幅 | 0.25%(予想通り) | 織り込み済みで反応薄 |
| QT終了 | 緩和的 | 一時的にドル売り圧力 |
| パウエル発言 | 慎重・タカ派トーン | ドル買い要因 |
| 利下げ見通し | 12月は確定ではない | 追加緩和期待が後退 |
| インフレ認識 | 高止まりを警戒 | 引き締め継続を意識 |
| 結果 | 行動はハト派、発言はタカ派 | ドル高・円安で決着 |
今回のFOMCは「表」と「裏」が真逆。
📉 表(行動)=利下げ&QT終了 → 緩和ムード
📈 裏(発言)=慎重姿勢・追加利下げ否定 → タカ派ムード
つまり、
“数字よりも、言葉を読む”力が求められた回です。
「数字ではなく“意図”を読む」
「発表ではなく、反応をトレードする」
という“億トレ思考”を鍛える絶好の教材でした🔥
次回(12月会合)の注目ポイント
- 追加利下げがあるかどうか(パウエルが明言を避けた)
- 雇用統計とCPI(インフレデータ)がどう出るか
- QT終了が市場金利にどう作用するか
特に12月は、
「利下げ3連続 or 一時停止」の岐路。
市場の“読み違い”が起きやすい局面になります。
まとめ
利下げ=ハト派とは限らない。
“どう利下げしたか”より、“どう語ったか”が相場を動かす。
まさに今回のFOMCは、
“トレードはニュースではなく心理で動く”を証明した実例でしたね👍



