【悪い円安】貯金命の人は要注意!円安から資産を守る方法を解説!
- 2023.08.10
- お金の教養
2023年6月の外国為替市場では、1ドル = 140円前後を推移しています。
2021年1月頃は1ドル = 102円前後だったことからも、急激なスピードで円安が進行していることが確認できます。
為替の動きは、みんなの生活にも大きな影響を与えているね!
「為替はよく分からないし、自分には関係ない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、為替に気を配り、適切な対策を取らなければ、気づかぬうちに生活が苦しくなる可能性があります。
為替を意識するかしないかによって、将来の生活が大きく変わってきます。
この記事では、現在も進行している「円安」について解説していきます。
✅現在円安になっている理由
・アメリカの利上げに伴い日米金利差が拡大しているから
・「日米の実質金利の差が縮小する」と市場が予想しているから
✅円安のメリット
・輸出で儲かる
・外国からの旅行者が増えやすくなる
・外貨建ての収入や資産額が増える
✅ 円安のデメリット
・輸入品の価格が高くなる
・海外旅行のコストが高くなる
・海外資産の購入コストが高くなる
✅円安から資産と生活を守るために必要なこと
・外貨建ての資産を持つ
為替の理解を深め、より豊かな人生を送れるように学んでいこう♪
現在円安になっている理由
なぜ現在、円安になっているのでしょうか。
NHKのネットニュースに、為替に関する記事が掲載されていました。
この記事から、今の円安の原因は下記の2つだと考えられます。
① アメリカの利上げに伴う日米金利差の拡大
②「日米の実質金利の差が縮小する」と市場が予想しているから
原因①:アメリカの利上げに伴う日米金利差が拡大している
2023年6月16日のNHKニュースには、このような記載があります。
”東京外国為替市場では、アメリカの中央銀行にあたるFRBが、今週、利上げの長期化を示唆した一方、16日に、日銀が金融緩和策の維持を決めたことから、日米の金利差の拡大が意識され、円を売ってドルを買う動きが強まりました。”
出典:NHKニュース「円相場 荒い値動き 日銀の金融緩和策維持決定で」
この「利上げ」がキーワードです。
2022年3月、アメリカの中央銀行にあたるFRBのパウエル議長は、ゼロ金利政策を解除する方針を示し、金利を計7回にわたり0.25%ずつ上げると言及しました。
2023年6月のFRBの金融政策を決める会合では、利上げが見送られましたが、年内にあと2回の利上げが想定される内容となりました。
分かりやすいように解説するね!
皆さんは下記の2つの銀行だと、どちらにお金を預けたいでしょうか?
・預金金利が0.02%のメガバンク
・預金金利が5.25%のSJK銀行
もちろん、SJK銀行だよね!
皆さんも、金利の高いSJK銀行に預けたいと思うはずです。
そして、メガバンクに預金している人の中には「SJK銀行のほうが多く利息をもらえるから、解約してSJK銀行に預けよう」と考える人も出てくるでしょう。
現在のドルと円でも、同じことが起こっています。
「高い金利のつくドルの方が、ほとんど金利のつかない円よりも良い」と考える人が、円を売ってドルを買っているのです。
「円安」と「利上げ」の関係が分かってきたね!
「日本も利上げしたら、金利の差は広がらないんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
ですがニュースにもあるように、日銀は金融緩和策の維持を決めました。
日銀は粘り強く金融緩和を続ける方針なので、日米の金利差はまだまだ拡大するかもしれません。
原因②:「日米の実質金利の差が縮小する」と市場が予想しているから
ニュースより、「金利差」が円安の原因の1つと考えてきました。
ですが、「ドルよりはるかに高金利の通貨では、もっと円安が進んでいるはず」と思う方もいるでしょう。
・トルコリラ
→ 政策金利:8.5%
・ブラジルレアル
→ 政策金利:13.75%
(※2023年6月現在)
では、上記の通貨の為替はどうなっているか確認していきます。
トルコリラの為替レートは下記の通りです。
・2013年:1トルコリラ = 約50円
・2023年:1トルコリラ = 約6円
2013年は50円払わないと1トルコリラを買えなかったのに対し、2023年現在では6円払えば1トルコリラを買えるということです。
円の価値が上がっているから「円高」ってことだね!
ブラジルレアルも、トルコリラと同じ様に円高トレンドです。
「トルコリラやブラジルレアルは金利が高いのに、なぜ円高になってるの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
それは、「インフレ率」が関係してくるからです。
もしもトルコリラを購入して預金し、8.5%の利息を受け取ったとしても、毎年8.5%物価が上がれば実質的に意味はありません。
なぜなら、「モノを買う力」は、今年も来年も同じだからです。
例えば、預金した1,000円が1年後に利息がついて1,085円になっても、1,000円で買えたお弁当も1年後に1,085円になれば何も変わりません。
政策金利とインフレ率が同じならまだしも、トルコのインフレ率は20%~80%です。
このような状況では、物価が上がるペースの方が早いので、通貨は文字通り「紙切れ」と化してしまいます。
だから、高金利でもインフレ率の高い国の通貨は買われにくいんだね!
つまり、長期的な視点で重要なのは、名目金利ではなく「実質金利」なのです。
・名目金利:預金金利といった見かけ上の金利
・実質金利:名目金利からインフレ率を引いたもの
例えば、 名目金利が3.0%、インフレ率が1.2%の場合の実質金利は、「3.0% - 1.2% = 1.8%」になります。
「1,000円を預金して30円の利息をもらったけど、物価が12円上がったので、実質トクしたのは18円」とイメージすると分かりやすいでしょう。
為替レートを考慮する際には、「実質金利」が非常に重要となります。
なぜなら、実質金利の高い通貨が買われて、実質金利の低い通貨が売られる傾向にあるからです。
それでは、下記のグラフをご覧ください。
これは、下記の2つを並べたグラフとなっています。
✅日米の為替レート
→ 濃い緑色の線(右軸)
✅日米の実質短期金利差
→ 薄い緑色の線(左軸)
・線が0より上にある時:アメリカの実質金利の方が高い
・線が0より下にある時:日本の実質金利の方が高い
まず、1998年頃を見てみます。
1998年頃は、アメリカの実質金利が6ポイント高くなっています。
この場合、円預金よりもドル預金の方が実質的に有利となるため、多くの人が円を売ってドルを買う傾向にあります。
その結果、円の価値が下落し、円安になります。
実際、レートは1ドル130円~140円くらいになってるね!
続いて、2010年頃のグラフを見てみます。
2010年頃は、日本の実質金利が4ポイント高くなっています。
この場合、ドル預金よりも円預金の方が実質的に有利となるため、多くの人がドルを売って円を買う傾向にあります。
その結果、円の価値が上がり、円高になります。
実際、レートは1ドル80円~90円くらいになってるね!
このように日米の実質金利差は、円とドルの為替レートに大きな影響を与えてきました。
では、現在の状況を見てみます。
2023年6月現在の日米の金利差は2.2%となっています。
アメリカの実質金利の方が高く、1ドル=140円前後と円安が進行しています。
今ドルが買われるのも納得ができます。
しかし、市場は下記の未来を予想していると考えられます。
・しばらくはFRBの利上げ局面が続く。
・日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正、撤廃をし、利上げする。
→ 日本がマイナス金利を解除することで、日米の実質金利の差が縮小する。
現在では、日米の金利差と「日銀の動向」に大きな注目が集まっています。
このように、為替は非常に多くの要素が複雑に絡み合って決まるため、誰にも予測することはできず、今回の解説内容が真実かどうかもわかりません。
しかしながら、長期的な時代の変化に対応しないと財産を守ることはできません。
ここからは、円安に対して資産と生活を守るために必要な手段について解説していきます。
しっかり学んで、円安対策していこう!
円安のメリット・デメリット
これから先も「円安トレンド」が続いた場合、どうなるのでしょうか。
円安のメリットとデメリットを解説していきます。
円安のメリット
①輸出で儲かる
②外国からの旅行者が増えやすくなる
③外貨建ての収入や資産額が増える
●メリット①:輸出で儲かる
メリット1つ目は、輸出で儲かることです。
なぜ輸出で儲かるかといいますと、同じ価格の商品でも円安の時に売った方が、円ベースでの売上は大きくなるからです。
✅価格が100ドルの商品の場合
・1ドル80円の時
→ 売上金:8,000円(100ドル × 80円)
・1ドル140円の時
→ 売上金:14,000円(100ドル × 140円)
➡ 1ドル140円の時の方が6,000円売り上げが多くなる
●メリット②:外国からの旅行者が増えやすくなる
メリット2つ目は、外国からの旅行者が増えやすくなることです。
「東南アジアは物価が安いから、旅行の時にお得に買い物ができる」と思ったことのある方も多いでしょう。
円安になると、世界中の人から「日本も物価が安くてお得な国」と考えられるようになるのです。
✅100ドルで使える金額
・1ドル80円の場合
→ 日本で使える金額:8,000円(100ドル × 80円)
・1ドル140円の時
→ 日本で使える金額:14,000円(100ドル × 140円)
➡ 1ドル140円の方が6,000円多く使える
円安の方が、日本でたくさん買えるってことだね!
●メリット③:外貨建ての収入や資産額が増える
メリット3つ目は、外貨建ての収入や資産額が増えることです。
ドル建ての株式やファンドを持っている方は、今の円安で配当金や利息、時価が増え、メリットを感じているでしょう。
円安のデメリット
①輸入品の価格が高くなる
②海外旅行のコストが高くなる
③海外資産の購入コストが高くなる
●デメリット①:輸入品の価格が高くなる
デメリット1つ目は、輸入品の価格が高くなることです。
輸入品の値上がりにより、生活費が上がる可能性が高くなります。
その結果、「生活水準を向上させていないのに、年間で10万円も生活費が増えてしまった」という状況になりかねません。
●デメリット②:海外旅行のコストが高くなる
デメリット2つ目は、海外旅行のコストが高くなることです。
円安になると、海外の人は日本に来やすくなる一方、日本人は海外に行きにくくなります。
今はコロナウィルスの影響も薄れ、旅行需要は拡大しています。
円安による海外旅行でのコストの値上がりに驚くかもしれません。
●デメリット③:海外資産の購入コストが高くなる
デメリット3つ目は、海外資産の購入コストが高くなることです。
例えば、1株100円で買えていた株が140円出さないと買えなくなります。
将来の為替レート変動によるリスクや、円安による資産の価値低下にも注意が必要です。
このように、円安のメリットとデメリットを見てきましたが、今の円安はデメリットの方が大きいと考えられるでしょう。
✖ 生活費が上がる
✖ 海外資産の購入コストが上がる
「自分にはあまり関係ない」と考えている方は、その考え方を見直しましょう。
実際、多くの富裕層は為替レートを重要視しています。
なぜなら、為替レートが生活水準や収入、資産額に影響を与えるからです。
円安に対応できるよう、学びが大事だね!
円安から資産と生活を守るために必要なこと
それでは、円安にはどう対応すれば良いのでしょうか。
それは、「外貨建ての資産を持つこと」です。
・ドル建ての株式
・ユーロ建ての債券
つまり、色々な通貨に分散して資産を持とうということだね!
SJKCollegeでは、常日頃から「資産は分散しよう」と伝えています。
大事なのは、資産配分をすべて円にしないことです。
もしも、円預金しか持っていないなら、下記の状況を十分に把握しておくべきです。
✅円が弱くなっている
✅インフレが進行する可能性がある
デフレの世界では、貯金が最も良い投資先の1つだったのは間違いありませんが、現在は状況が違います。
もし、外貨建ての資産を持てば、下記のようにリスクヘッジができます。
✅円安やインフレに伴う生活費の上昇を、資産収入で相殺できる。
✅円安やインフレに伴う資産の減少を、外貨建て資産の増加で相殺できる。
このように、分散して外貨建て資産を持っているかどうかで、未来は大きく変わってくるのです。
ちなみに、外貨建ての資産とはいえ、外貨建ての貯蓄型保険はおすすめしません。
貯蓄型保険については以前解説しましたので、下記をご覧ください。
まとめ
この記事では、下記の3点について解説しました。
①現在円安になっている理由
②円安のメリット・デメリット
③円安から資産と生活を守るために必要なこと
①現在円安になっている理由
現在、円安になっている表面的な理由は下記の2つです。
・米国が利上げをしているから
・日本が金融緩和を継続しているから
そして、「日米の実質金利の差が縮小する」と市場が予想していると考えています。
・しばらくはFRBの利上げ局面が続く。
・日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正、撤廃をし、利上げする。
→ 日本がマイナス金利を解除することで、日米の実質金利の差が縮小する。
②円安のメリット・デメリット
円安のメリットとデメリットは下記の通りです。
✅メリット
・輸出で儲かる。
・外国からの旅行者が増えやすくなる。
・外貨建ての収入と資産額が増える。
✖ デメリット
・輸入品の価格が高くなり、国内の生活コストが上がる可能性がある。
・海外旅行のコストが高くなる。
・海外資産の購入コストが高くなる。
③円安から資産と生活を守るために必要なこと
円安から資産と生活を守るために必要なのは、外貨建ての資産を持つことです。
SJKCollegeでは、「資産は分散しよう」と伝えています。
資産配分をすべて円にしないことが大事です。
円安が進んでも大丈夫なように、しっかり学び、資産形成をしていこう♪