
💡ニュースから見えてきた動き
2025年8月、日本の10年国債利回り(長期金利)が1.61%を突破しました。
これはなんと2008年以来、17年ぶりの高さです。
ニュースでは「国債の入札が不調」「財政不安」「円安」「利上げ圧力」など難しい言葉が並びますが、
実際に私たちの生活や投資にどんな影響があるのか、初心者でもわかるように整理してみましょう。
そもそも国債とは?
国債は、簡単にいえば「国の借金の証文」です。
政府が「お金を貸してください。その代わり利息をつけて返します」と約束し、投資家や銀行がそれを購入することで、国は資金を集めます。
つまり国債は、国が発行する借用書のようなものです。
国債が売られると利回り(金利)が上がる仕組み
「国債が売られると利回りが上がる」と聞いてもピンと来ないかもしれません。
ここが一番大事なポイントなので、少し丁寧に解説します。
国債の値段は変動する
- この国債を持っている人が「売りたい」と思ったら、市場で売買される。
- 人気があれば「100万円(買った値段)より高い値段」で買ってくれる人がいる。
- 人気がなければ「安くしないと売れない」。
価格と利回りは逆の関係
例として「額面100万円、毎年1万円の利息(利率1%)」の国債を考えましょう。
- 人気があって110万円で買われた場合
→ 利回り = 1万円 ÷ 110万円 = 約0.9%(利回りが下がる) - 人気がなくて90万円でしか売れない場合
→ 利回り = 1万円 ÷ 90万円 = 約1.1%(利回りが上がる)
つまり、
✅ 国債が売られて価格が下がると、利回り(金利)は上がる
✅ 国債が買われて価格が上がると、利回り(金利)は下がる
今回のニュースの背景
今回、日本の長期金利が急上昇したのには、いくつかの理由があります。
- 国債の入札が不調
投資家が「国債を買いたくない」と判断し、売りが増えた。 - 財政不安
政府が「支出を増やす+減税する」方針を示したことで「国の借金が増えるのでは?」という不安が強まった。 - 円安・物価上昇
円安が進むと輸入品が高くなり物価が上がる。
「もっと金利を上げないとダメだ」という声が政治家からも出てきた。
こうした要因が重なり、国債が売られて利回りが上昇したのです。
短期金利と長期金利の違い
ここで混乱しがちなのが「短期金利」と「長期金利」の違いです。
- 短期金利(政策金利)
中央銀行(日銀やFRB)が「上げます・下げます」と決められる金利。
銀行同士のお金の貸し借りや、住宅ローン・企業融資の金利に直結する。 - 長期金利(国債利回り)
国債の売買によって市場が決める金利。
景気や財政不安、投資家心理によって勝手に上下する。
💡ニュースで「日米金利差」と言うと、基本的には短期金利の差を指すことが多いですが、投資家は長期金利も意識します。
長期金利が上がるとどんな影響がある?
「政策金利」ではないので中央銀行が直接操作したわけではありません。
それでも、長期金利の上昇は私たちの生活や投資にじわじわ影響します。
- 住宅ローン(金利固定型)が上がる
長期金利を参考にしているため、利回り上昇はローン金利上昇につながる。 - 企業の資金調達コストが上がる
社債を発行する時に、国債利回りが高いとより高い利息を提示しないと買ってもらえない。 - 株式や暗号資産などリスク資産に逆風
「国債の利回りが高いなら、安全な国債でいいや」となる投資家が増え、株やビットコインから資金が抜ける可能性がある。
まとめ
- 国債は国の借用書であり、売られると価格が下がり、利回り(金利)が上がる。
- 今回のニュースでは「財政不安・円安・利上げ圧力」によって長期金利が1.61%まで上昇。
- 長期金利は市場で決まるもので、政策金利とは別物。
- それでも長期金利上昇は、住宅ローンや企業活動、株や暗号資産といったリスク資産に影響を与える。
💡ニュースで「金利が上がった」と聞いたときは、「それは短期金利?長期金利?」と区別して考えることが大切です。