暗号資産のデリバティブ取引(先物や無期限契約)をしていると、必ず目にするのが 「ファンディングレート(Funding Rate)」 です。
難しそうに聞こえますが、仕組みを理解すればトレードの武器になります。ここでは、初心者向けにわかりやすく解説していきます!
ファンディングレートとは?
ファンディングレートとは、無期限先物取引で価格が現物価格と大きく乖離しないようにするための調整金 です。
トレーダー同士が 一定時間ごとに支払い合う手数料のようなもの と考えるとわかりやすいでしょう。
- プラスのファンディングレート:ロング(買い)を持っている人が、ショート(売り)の人に支払う
- マイナスのファンディングレート:ショートの人が、ロングの人に支払う
つまり、「人気が偏っている側がコストを払う」仕組みになっています。
どうして必要なの?
無期限先物は「期限がない」ため、放っておくと価格が現物(スポット価格)からどんどんズレてしまいます。
そこでファンディングレートが導入されており、価格の歪みを矯正する役割 を果たしています。
例)
- ロングポジションが多すぎる → 価格が上がりすぎる → ロング側にコストを課す
- ショートポジションが多すぎる → 価格が下がりすぎる → ショート側にコストを課す
ファンディングレートを確認する方法
① 各取引所でチェック
Bybit、Binance、など主要な先物取引所では、取引画面に「資金調達率」が表示されています。
② Coinglassでチェック(おすすめ!)
Coinglassでは、複数取引所のファンディングレートを一覧で比較できます。
- 「BTC」「ETH」「アルトコイン」ごとに整理
- どの取引所がロング優勢なのか、ショート優勢なのか一目でわかる
- 次回の精算までのカウントダウンも確認可能
📌 使い方の例
- どの取引所でもファンディングレートが大きくプラス → 市場全体がロング過熱気味
- 逆にマイナスが目立つ → ショートに傾きすぎ
初心者はまず Coinglassの一覧で全体の傾向をつかむ
→ その後に自分が使う取引所で細かくチェック、という流れがわかりやすいです。
Coinglassでの見方

① 全体の平均をチェック
- BTC資金調達率平均
- ETH資金調達率平均
ここを見れば、市場全体がロング優勢かショート優勢かがすぐにわかります。
プラスなら「ロングが多い」、マイナスなら「ショートが多い」と判断できます。

② 極端な銘柄をチェック
- 最高資金調達率(赤字):一番ロングが過熱している取引所・銘柄
- 最低資金調達率(緑字):一番ショートが過熱している取引所・銘柄
市場の「偏りすぎポイント」を把握できます。
例えば赤が大きければ「買いすぎ」、緑が大きければ「売りすぎ」のシグナル。

③ 自分の取引所をチェック
Binance / Bybit / OKX など、取引所ごとのファンディングレートが並んでいます。
自分が使っている取引所の列を確認すれば、実際に支払う/受け取る資金調達率がわかります。
③ TradingViewでチャートと重ねて確認
「Funding Rate」と検索すると、インジケーターをチャートに表示できます。
ここでは バーの色と位置 に注目しましょう。
- 緑のバーが上に出ているとき
→ ファンディングレートがプラス
→ ロング(買い)がショートに支払っている
→ 市場はロングに偏っている - 赤いバーが下に出ているとき
→ ファンディングレートがマイナス
→ ショート(売り)がロングに支払っている
→ 市場はショートに偏っている
ファンディングレートの数字は何を意味するの?
「BTC資金調達率:0.0089%」などと表示されている数字は、ポジションを持っている金額に対して、一定時間ごとに支払う(または受け取る)割合 を示しています。
多くの取引所では 8時間ごと に精算されます。
具体例:BTCで計算してみよう
例えば、BTCの資金調達率が 0.0089% のときに、
- あなたが 1BTC(=100,000ドルと仮定) のロングポジションを持っているとします。
- 0.0089% × 100,000ドル = 8.9ドル
1回の精算(8時間ごと)で 8.9ドルをショート側に支払う ことになります。
1日は8時間×3回なので…
- 8.9ドル × 3回 = 26.7ドル/日 のコスト!
まとめ
「0.0089%」のような数字は一見小さく見えますが、
大きなポジションを長時間保有すると 大きな支払い(または受け取り) になります。
だからこそ、ファンディングレートは「コスト管理」と「市場心理」を読み解く重要な指標なのです。
ファンディングレートで読み取れること
- 市場の偏り
- プラスが大きい → ロングに偏っている
- マイナスが大きい → ショートに偏っている
- 逆張りのヒント
ファンディングレートが極端にプラス → みんな買いすぎ → 反転下落する可能性あり
ファンディングレートが極端にマイナス → みんな売りすぎ → 反転上昇する可能性あり - コストの把握
長期でポジションを持つと、ファンディングレートによる支払いが積み重なり、利益を圧迫することもあります。
まとめ
- ファンディングレート=市場の偏りを調整する仕組み
- プラスならロング側が支払い、マイナスならショート側が支払い
- 市場心理を読み解くヒントや、トレードコストの把握に役立つ
ファンディングレートを理解すれば、
「ただチャートを見るだけ」から一歩進んで、市場の裏側を読む力 を身につけることができます。