暗号資産の税金が変わる?金融庁が分離課税&ETF解禁を要望へ

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暗号資産の税制が変わる?金融庁が分離課税導入を要望へ

2025年8月22日、日本経済新聞などの報道によると、金融庁が2026年度の税制改正で「暗号資産の課税ルールの見直し」を要望する方針を固めました。
さらに、ビットコインなどのETF(上場投資信託)を組成しやすくする仕組みも検討される見通しです。

いまの暗号資産の税金はどうなっているの?

現在、日本で暗号資産(ビットコインなど)を売買して利益が出ると、その利益は「雑所得」として扱われます。
雑所得は給与や事業所得と合算されて課税されるため、累進課税と呼ばれる仕組みが適用されます。

つまり、利益が大きければ大きいほど、課税率がどんどん上がる仕組みです。
具体的には以下の通りです👇

課税所得(給与などと合算)税率(所得税+住民税)
~195万円約15%
195~330万円約20%
330~695万円約30%
695~900万円約33%
900~1,800万円約43%
1,800~4,000万円約50%
4,000万円超約55%

※住民税を含めた実効税率

たとえば、会社員の方が給与所得に加えて暗号資産で200万円の利益を出した場合、給与額に応じて課税率が一気に上がり、手元に残る金額は大きく減ってしまいます。

この「高すぎる税負担」が、国内投資家の参入を阻んでいると長年言われてきました。

「分離課税」になるとどう変わる?

金融庁が要望しているのは、株やFXと同じ「申告分離課税」への移行です。

分離課税の特徴

  • 給与所得などと合算せず、暗号資産だけを別枠で課税
  • 税率は一律20%(所得税15%+住民税5%)
  • 利益が大きくても税率は変わらない

📌 例)

  • 暗号資産で100万円の利益 → 税金20万円
  • 暗号資産で1,000万円の利益 → 税金200万円

現行制度では1,000万円の利益に対して最大55%=550万円の税金がかかる可能性があるので、分離課税になると手取り額が大幅に増えることになります。

また、業界団体(JVCEA)は「損失の繰越控除(3年間)」も要望しており、株式投資と同じように翌年以降に赤字を繰り越せる制度も検討されています。

暗号資産ETFも進む?

ETFとは「上場投資信託」のこと。証券取引所に上場している投資商品で、株のように売買できます。

海外の流れ

  • 2021年:米国でビットコイン先物ETFが承認
  • 2024年:米国で現物ビットコインETFが承認され、運用資産が数兆円規模に
  • カナダ、欧州などでもビットコインETFが取引可能

ETFがあることで、投資家は証券口座からビットコインに簡単に投資できるようになり、機関投資家(年金基金、銀行など)の参入が一気に進みました。

日本の現状

日本ではまだ暗号資産ETFが存在せず、金融庁もこれまで慎重姿勢を続けてきました。
しかし今回、暗号資産を「資金決済法」から「金融商品取引法(金商法)」の規制枠組みに移し、ETF組成を可能にする方向で議論が始まっています。

ETFが実現すれば、証券会社の口座だけで暗号資産に投資できるようになり、個人投資家の裾野が広がると同時に、海外の資金流入も期待されるでしょう。

業界が求めていること

日本暗号資産ビジネス協会(JVCEA)などの業界団体は、金融庁の要望に加えて以下のようなことも求めています。

  • 税率20%の分離課税+損失の3年間繰越控除
  • 暗号資産での寄付ルールの明確化
  • 相続・贈与時の評価方法の見直し
  • 暗号資産同士の交換時の課税を回避できる仕組み

投資家にとってより公平で、使いやすい制度が期待されています。

まとめ

今回の金融庁の動きは、
暗号資産の税金を「最大55%」から「一律20%」にする分離課税導入
ビットコインETFなどの投資商品を作りやすくする制度整備

この2点が大きな柱です。

もし実現すれば、
「税金が高くてやる気にならない…」と思っていた人も、暗号資産投資を始めやすくなりそうです。

暗号資産投資がより身近で、安心して取り組める時代に近づいているのかもしれません✨

いまはまだ準備段階ですが、2026年の国会で法改正が目指されているため、これから1年半ほどが大きな転換期になりそうです。