経済指標とは?最低限見ておくべき指標5選
相場分析で欠かせないファンダメンタルズ分析において、基礎となるのが「経済指標」です。
この記事では、FX初心者でも取引に活用できるように、経済指標についてわかりやすく解説します。
経済指標とは
経済指標とは、各国の経済活動状況を表す統計データのことです。
各国の経済や景気を数値化しており、経済動向を把握する上で大切なバロメーターです。
物価・インフレ率・失業率・小売売上高・国内総生産などは景況を示す重要な経済指標です。
結果次第では、為替相場が大きく変動することもあります。
なぜFXで経済指標が重要なのか
経済指標が重要なのは、「為替相場に与える影響が大きいから」です。
為替レートが変動する要因は様々ですが、最も影響するのが国の経済動向です。
経済が強い国の通貨は買われ、弱い国の通貨は売られる傾向にあります。
経済指標の数字が、予想以上に良かったり悪かったりすると、相場は大きな反応を見せることがあります。
最低限見ておくべき指標5選
米国雇用統計
米国の雇用情勢に関するデータを集めたものが米国雇用統計です。
この統計は企業がどの程度人を雇えているか、賃金を出せているか、まだ雇う余裕があるか、などを示しています。
米雇用統計が注目される理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定するうえで雇用情勢を重視している点にあります。
一般的に、雇用統計が良好なら量的緩和の縮小や政策金利の引き上げに、悪化したら緩和拡大や引き下げにつながります。
雇用統計は10項目で構成されますが、とくに注目されるのが非農業部門雇用者数と失業率です。
●非農業部門雇用者数
農業部門を除く産業で民間企業や政府に雇用されている人の数とその増減をまとめたものです。
雇用されている人の数が多ければ多いほど個人消費が拡大するので、やはり景気の状態を確認するための指標として重要です。
●失業率
アメリカ国内の失業者数(16歳以上の働く意志を持つ人たち)を労働人口で割って算出し、増減とともに公表しています。
失業率が上昇すれば個人消費が減少し、失業率が下落すれば個人消費が増加するため、失業率も景気動向を判断するために重要です。
発表日程:毎月第一金曜日(場合によっては第二金曜日)、日本時間21時30分(米国冬時間は22時30分)
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数は略してCPI(Consumer Price Index)とも呼ばれます。
一般消費者世帯が購入する商品やサービスの、総合的な価格の動きを指数化したものです。
インフレに関する今後の動向を分析する指標として最も一般的であり、金融当局の政策を読むうえで注目度が高いです。
一般的に物価上昇に過熱感がある時は中央銀行の利上げ期待が強まり、逆に物価が下落する場面では利下げ期待が強まります。
世界各国でそれぞれの発表がありますが、最も影響力があるのはアメリカの数値となります。
消費者物価指数は、対象となる全品目の動向を集計した「総合指数」と、価格の変動が大きくなりやすい品目を除いた「コア指数」の2つが発表されるのが一般的です。
消費者物価指数が「前月比」や「前年同月比」で上昇基調なのか、あるいは下落基調なのかに注目します。
米国CPI発表日程:毎月13日前後、日本時間21時30分(米国冬時間は22時30分)
FOMC声明/議事録
FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、米国の金融政策を決定する会合です。
日本では、日銀金融政策決定会合で金融政策を決定していますが、アメリカのそれに当たるものが「FOMC」です。
年に8回開催され、委員会はFRB理事7名と地区ごとの連邦準備銀行総裁5名の最大計12名で構成されています。
FOMC会合終了後に発表される声明文、開催の3週間後に公表される議事録は、今後の金融政策の方向性を判断する材料になるため、市場関係者の関心は非常に高くなっています。
FOMC日程:約6週間ごとに行われ、年8回開催
日銀金融政策決定会合
日銀金融政策決定会合は、日本銀行が金融政策や政策金利に関することを討議・決定する会合です。
主に金融市場の調節方針や金融政策手段などが議論され、当面の方針が決定されます。
通常は各会合とも2日間の日程で、6週間に一度、年に計8回開催され、2日目の会合終了後には決定事項の公表と、日銀総裁による記者会見が行われます。
また、2会合に1回の割合で、参加メンバーの先行きの経済や物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(基本的見解)」が公表されます。
会合終了後に直ちに決定内容が公表されるため、金融政策などの決定事項の発表時刻が決まっていないという特徴があります。
日程:約6週間ごとに行われ、年8回開催
GDP(国内総生産)
GDPとは、一定期間内に国内で生み出された付加価値の合計額を表したデータです。
その国の経済規模を表したデータで、期間内に経済がどれだけ成長したかを把握できる、非常に注目度の高い経済指標です。
GDPには、付加価値の金額を単純に合計した「名目GDP」と、名目GDPから物価の影響を除いた「実質GDP」の2つがあります。
経済成長率などと呼ばれる「実質GDP」の伸び率の方が、市場では注目されます。
米国GDP発表日程:四半期ごとに「速報値、改定値、確定値」と発表され、速報値が最も大きな値動きを起こしやすい傾向にあります。